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朝鮮半島支配を企む中共

『月刊日本』2012年9月号 羅針盤 2012年8月22日

 今年は日本と中共の国交が成立してから四十年に当たるが、お祝いムードはちっとも盛り上がらず、尖閣列島を巡って緊張した関係が続いている。朝鮮戦争で血を流し合った中共と韓国の国交は、日本とちょうど半分、今から二十年前、一九九二年に成立した。この中共と韓国との関係も、このところ対立関係が目だっていることが注目される。

 まず一つは、北朝鮮の人権問題で活動していた韓国人が、中共に拘束されて拷問を受けていたという問題である。八月一日の朝日・同三日の産経の記事によると、金永煥という韓国人が脱北者支援などの活動を行っていたところ、今年の三月末に身柄を拘束され、丹東市国家安全局に移送されて、四月十日から十五日までの取調べで拷問を受けた。その拷問の手口は産経の記事が詳しく、「①電線を体に巻き付け高圧電流を流す②あざができないよう平手で顔面を激しく殴打する③一睡もさせない」といったものであるという。
 金氏は七月二十日に帰国したが、朝日の記事によると、「解放された後、帰国して25日にソウルで記者会見を開いた金氏は、『過酷な取調べを受けた』と話すにとどめていたが、その後、韓国メディアの取材に、顔への殴打や電気による拷問を受けたことを明かにした」とあるから、金氏自身は公表に熱心ではなかったが、マスコミがこれに飛びついたわけである。その後韓国マスコミは、連日の中共批判の大報道を展開しており、また民間団体による、中共大使館へのデモも起きているという。
 マスコミは政府の弱腰外交を追及しているから、韓国政府も黙っているわけにゆかず、七月三十一日に外国通商省は、中共政府に真相究明と謝罪を要求する声明を出した。このあたりの経緯を産経は、「当初、中韓関係への配慮から強い態度に出ていなかった韓国政府も世論の″炎上‶で態度を一転」と説明している。この声明では、中共に収監されている全韓国人625人への領事面談を実施すること、金氏が国連に訴える際には積極的に支援することなどが触れられているという。
 西大門刑務所の跡地に、何十年も前の日本統治時代の拷問状況を展示する博物館を作っている韓国のことであるが、現在ただいまの拷問について、マスコミにしても政府にしても、中共相手にどこまで頑張れるのか、まことに見ものである。
 以上は、現在進行形の問題であるが、もう一つは歴史に関わる問題である。中共の国家文物局は六月五日、万里の長城の総延長が調査の結果、従来公表していたものの倍以上になると発表した。僅か三年前の二〇〇九年に、八八五一・八キロとしていたものを、二・四倍の二万一一九六・一八キロであるとしたのである。八八〇〇キロという数字は、明時代に建設された長城の距離らしいが、元来辞典などでは二四〇〇キロと説明されており、一挙に三倍以上も延長していたのである。今回の延長はこれと異なって、中共領土内の長城的建造物を含めることにした結果である。したがってその存在地域は、東は黒竜江省から西は新彊ウイグル自治区に及ぶことになった。
 中共と韓国の間で、これがなぜ問題になるかといえば、高句麗や渤海が建設した長城が、そこに含まれてくるからである。韓国では、高句麗や渤海は韓民族(朝鮮人)の国家であるというのが大原則であって、最近日本のテレビで放映される韓国製の時代劇でも、高句麗や渤海を取り上げて、自国の歴史として国民に対する教育を行っている。つまり、日本の能天気な大河ドラマなどとは、その性格が全く違うのである。
 ただし、高句麗や渤海が朝鮮人の国家であったか否かは、シナ人との関係において、それほど大きな問題であるとは、私には思われない。それよりずっと重大な歴史的問題が、シナと朝鮮の間に存在すると考えるからである。それは二つあり、一つは例の冊封関係の問題である。歴史時代を通じて朝鮮の国王は、殆ど中華帝国の皇帝との間に、主従関係である冊封関係を結んでいた。そのため朝鮮は独自の年号は持てなかった。ただしこの冊封関係は、沖縄にも当てはまるし、日本そのものも無関係なわけではない。
 もう一つは、漢の時代には朝鮮半島のかなりの部分が、その直接の支配地域になったことである。当時の朝鮮半島には、漢の郡として楽浪・玄菟・臨屯・真蕃・帯方といった諸郡が置かれた。今後シナ人が韓国に支配を及ぼしてくるとき、この歴史的事実を最大限に利用とすることは、充分想定できると私は考える。

※8月28日補記 本稿は締め切りの関係上、8月8日に執筆したものである。この直後、イ・ミョンバクが竹島に上陸し、状況はガラッと変わった。

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