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参院選勝っても靖国参拝できぬ首相

  • Posted by: 中の人2
  • 2013年10月16日 12:29
  • 国民新聞

『国民新聞』第19187号 平成25年9月25日付

 

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【米国が許可しない靖国参拝】 

終戦記念日の八月十五日、安倍首相は結局靖国神社に参拝しなかった。参院選に勝つまではと、各種の勇ましい公約を封印してきた首相であるが、参院選に勝っても靖国参拝は実現できなかったのである。このことの持つ意味は極めて重大である。そのためか却って、それに対する反応はとても低調で、皆で黙り込んでいる状態であるようだ。

中共や韓国との外交関係は、これ以上悪くなりようがないくらい悪いのであるから、両国の思惑を考慮することなく、決行するのにはまさに絶好の機会であったと考えられる。では安倍首相はなぜ靖国参拝が出来なかったのか。その理由は、八月十四日に参拝推進派の産経新聞が明確に書いているから、間違いないだろう。それはアメリカの意向に沿って、行けなかったと言うのである。当時来日していた上院外交委員長は、安倍首相の決断を賞賛した。

今からちょうど七年前、二〇〇六年に小泉首相は、八月十五日の靖国参拝を決行した。その後継者と考えられた安倍首相は、〇七年の訪米に当たって、議会での慰安婦問題の決議をぶつけられ、靖国参拝はできなかった。すでにこの時から、歴史問題に関する、アメリカの対日牽制は始まっていたのである。それ以後はずっと、首相の靖国参拝はできずにきた。そして今年こそはと期待されたにも拘わらず、ものの見事に失敗したわけである。郵政民営化を行った小泉首相は、終戦記念日の靖国参拝ができたが、安倍首相はTTP参加を決断しても、靖国参拝は許可して貰えなかったのである。

【望むべくもない軍事の独立】

五月から六月にかけて、アメリカ・中共・韓国は、それぞれ相互の首脳会談を行ったが、ここで日本をめぐる歴史問題・領土が取り上げられた。特に米韓会談の際には、朴大統領に上下両院合同会議で演説をさせた。そこで同大統領は日本批判を展開して、満場の拍手を浴びた。米議会調査局は、安倍首相を強固なナショナリストと決めつけた。ここにアメリカの意向が、明瞭に表れている。

すなわち今年の夏において、靖国問題などの歴史問題の解決は、極めて困難になった事実は、まことに無念ことであるが、正面から受け止めなければならない。さらに客観的状況も七年前よりはるかに悪くなっている。当時より中共の経済力・軍事力は成長し、アメリカの力は落ちている。しかも中共は日本の領土に対する、あからさまな侵略意欲を表明した。そうなれば軍事力無き日本は、アメリカに頼らざるを得ず、歴史問題においてもアメリカの意向に逆らうことは難しい。この困難な状況を突破するには、極めて巧妙な外交テクニックが必要であるが、それは今の日本人にとって最も欠けているものである。

要するに歴史問題の根本的な解決には、日本の真の回復には、日本の軍事的自立が絶対に必要なのである。ただし日本の現状では、これはとても望むべくもない課題である。空想的平和主義を唱える勢力は、我が国においては極めて根強く、自民党にすら存在する。憲法改正に唯一の望みを託する人は多いが、憲法さえ変えれば、日本は魔法のように立ち直るとは、私にはとても考えられない。そしてそもそも、アメリカが制定した「米定憲法」の改正を、アメリカは黙って認めるのであろうか。

 

※追記

【地域に無益な憲法改正(在韓米軍当局者)】

10月2日の産経新聞の国際面雑報欄に、ソウル発時事電によって、「在韓米軍当局者『日本の改憲は無益』なる見出しの記事が出ている。それによると「在韓米軍当局者は1日、安倍晋三政権が目指している憲法9条改正について、『地域にとって無益だ』と批判した。ソウル市内で一部記者団に語った。中韓両国との関係によい影響を与えないとの認識に基づく発言で、米軍当局者が日本の憲法問題に明確な立場を示すのは異例だ。当局者は、『過去数カ月間、安倍首相が語ってきたことを(報道などで)全て読んだが、率直に言って地域にとって無益だ』と指摘。具体的には『憲法の変更をめぐる議論』を問題視した」とある。(以上、全文)

同日の朝日新聞にも、同趣旨の小さな記事が出ているが、こちらには米国防省報道官のコメントが出ている。それによれば、「この発言を受けて、米国防総省のリトル報道官は『米国は日米韓協力の拡大を期待している。歴史的な緊張はあるが、民主主義など共通するつながりに基づく未来があることも認識している』との談話を発表した」。国防総省としては、在韓米軍高官の発言を、積極的に否定してはいないようだ。

 


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