- 2009年12月20日 11:05
- 時評
今回の問題に関しては、全般的に政府が取った処置に対して批判的である。閣僚の多くは賛成し、その中には国民新党の亀井大臣も含まれているようだが、民主党の中でも明確に反対する人間はいた。自民党はかなり強い態度で抗議しているが、ただし迫力は感じられない。公明党は賛成を表明した。そしてこの問題に関しては、かの朝日新聞すら批判的であるのは、いかに誤った処置であったかを証明している。
それらの反対の理由は、基本的に天皇の政治利用ということだが、今回の問題の本質は、そんな生易しいものではなく、更に深刻で悪質だと、私は考える。それは天皇の尊厳さを、大きく傷つけたことにあるのではないか。しかも二重の意味で、尊厳さの毀損が行われたと言える。それには対内的な意味と、対外的な意味とである。
小沢は長官の辞任を要求した14日の会見で、天皇は「何をするにしても内閣の助言と承認が必要だと憲法に書いてある」と言ったが、小沢自身は内閣の一員ではなく、一政党の幹事長である。したがってこの問題について論ずる資格が、本来小沢にはないのである。それを傲慢な態度で小沢がやったのは、総理大臣より自分の方が上で、実質的支配者だと言わんばかりである。もちろんこれまでも種々の問題で、小沢は支配者面をしてきたが、今回は他ならぬ皇室に直接関わる問題である。結局小沢は、自分は内閣より上で、天皇に指示できる立場であり、だから天皇より偉いのだと公言しているのと同じである。まことに不敬の極みと言うしかない。これが対内的な意味である。
次に対外的意味は、もちろん中共との関係である。中共はいったん断られた国家副主席の天皇陛下との会見を、外交礼儀を無視して、つまり非礼にも再度要求し、小沢を利用することによって、ものの見事に実現してしまった。天皇という最も高貴な存在に対してすらも、自己の不当な要求を強引に貫徹したのであり、天皇の尊厳は大きく損なわれた。朝日新聞さえ、次のように報じている。「外務省関係者は『中国は日本に無理を言えば応じると考えがちだったが、今回、図らずもそれを確信させてしまった』とも漏らした」すさまじいまでの、外交的な敗北である。そしてそれによって、今までも歴史問題などで進行していた、日本人の対中精神隷属は、更に一段と深化したのである。
先稿「保守の根本原理 何から何を守るのか」で説明したように、日本民族の真の敵はシナ人である。そのシナ人に対して、天皇の尊厳を毀損してすら迎合・隷属する小沢は、正真正銘の民族の裏切り者、民族の屑である。したがって亡国政治家の、本命中の本命であると言わなければならない。もちろん自民党時代にもすでに中共こびる亡国政治家は、存在した。代表的なのは、中曽根康弘・宮沢喜一・河野洋平と言った人々である。しかしこれらの人物と小沢とでは、明らかにレベルが丸で違う。その害毒も比較にならないほど大きい。辣腕の最高の権力者が、最悪の内部の敵になったのだ。これ以上の日本の危機があるだろうか。
- 次の記事: 自殺者は日米経済戦争の戦死者だ
- 前の記事: オバマ演説の支離滅裂